SF短編10選
the Interviews なるサービスに登録したら「好きなSF短編を10本挙げてください」という質問が来まして。回答したら思いの外長文が書けたので、転載します。質問した方、許してください…!
基本うろ覚え。順不同。
ロバート・リード「棺」 ハヤカワ文庫『90年代SF傑作選 下』収録
- 作者: 山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/03
- メディア: 文庫
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リードは、他に「工員」「オールトの子ら」も面白かった。特に「工員」は非コミュにとってはとてもアイタタなコメディ。ちょっと2chのAAで再現して欲しいような感じ。ただし収録はないはず。
テッド・チャン「理解」 ハヤカワ文庫『あなたの人生の物語』収録
- 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/09/30
- メディア: 文庫
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P.K.ディック「ウーブ身重く横たわる」 ハヤカワ文庫『アジャストメント―ディック短篇傑作選』収録
アジャストメント―ディック短篇傑作選 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-20)
- 作者: フィリップ・K・ディック,大森望,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/04/30
- メディア: 文庫
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コードウェイナー・スミス「クラウン・タウンの死婦人」 ハヤカワ文庫『ショイヨルという名の星』収録
シェイヨルという名の星 (ハヤカワ文庫SF―人類補完機構シリーズ)
- 作者: コードウェイナースミス,Cordwainer Smith,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1994/06
- メディア: 文庫
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筒井康隆「チョウ」 新潮文庫『笑うな』収録
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1980/10/28
- メディア: 文庫
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深堀骨「バブ熱」 ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション『アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記』収録
アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 深堀骨
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もっとも、深堀骨で一番の傑作はハヤカワ・ミステリ・コンテスト佳作受賞の言葉だと思うのです。自分がいかに松下由樹に興味がないかを延々語っている。嫌いですらない。関心がない。対象が松下由樹というのも絶妙なチョイスと思うけれど、そこでやるな(笑)。
グレッグ・ベア「鏖戦」 酒井昭伸訳 『80年代SF傑作選 下』収録
- 作者: 小川隆,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/10
- メディア: 文庫
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ブルース・スターリング&ルイス・シャイナー「ミラーグラスのモーツァルト」 ハヤカワ文庫『ミラーシェード―サイバーパンク・アンソロジー』 収録
ミラーシェード―サイバーパンク・アンソロジー (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: ブルーススターリング,小川隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1988/03
- メディア: 文庫
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サイバーパンクの盛り上がりをリアルタイムで享受した世代なので、ネット空間で黒づくめがアクションするのがサイバーパンクだとは思っていません。だって当時は「ブラッド・ミュージック」がサイバーパンクの代表作のひとつに挙げられてたんですよ? サイバーパンクにおいては、パンクがサイバーと同様に重要なのです。既存のドグマをぶっつぶす。その意味で本作には驚かされました。
昔、時間SFというと、歴史線を保つことが大原則でしたが、本作ではそのドグマをあっさり捨てます。「歴史が枝分かれする!」「それがなんなの?」パンクスだから秩序なんて気にしない。時間線が増えても構わずモーツァルトを現代に連れてきて、ロックスターにしてしまう。この「それがなんなの?」がサイバーパンクです。「身体をサイボーグ化することで人間性が失われる!」「それがなんなの?」「馬鹿が薬を盗み出したもんだから人間の体がとろけて1つの意識体に!」「それがなんなの?」チンピラの楽観主義。
今では多世界SFは珍しくないので、目新しさはないかもしれません。
飛浩隆「象られた力」 ハヤカワ文庫『象られた力 kaleidscape』 収録
- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/09/08
- メディア: 文庫
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キジ・ジョンスン「孤船」『S-Fマガジン』2011年3月号収録
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 雑誌
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リード「棺」といいこれといい、もしかしたら「狭いカプセル的なものに詰め込まれて大宇宙を漂う」という状況にコンプレックスがあるのかもしれません。
そしてまあ、言ってしまいますよね「Nice Boat.」と。