ノリーのおわらない物語
- 作者: ニコルソンベイカー,Nicholson Baker,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2004/06
- メディア: 単行本
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何しろ、思想もなければストーリーもない。キャラクターさえないのだ。あるのは描写だけ。人によって好き嫌いの分かれる要素がない。だから何も残らない(それがいい!)が、読んでいる間はだれでも楽しい時間を過ごせるはず。
ところが、この人ほど他人に勧めづらい作家もいない。
「牛乳パックの注ぎ口を讃える小説だよ」「時間を止めて、いい女の足元にエロ小説を書いて埋めておく話だよ」「テレホンセックスの本だよ」……orz。説明不能。
だがしかし。今回はお勧めしやすいなー。テーマは子どもの日常!なるほどぴったり。9歳の女の子というのは、ちまちまちまちま、もうディテールだけで生きている存在だ。それを余すところなく描けている。「層が好き!」とか、グロいの嫌いなくせにそればっか考えてるとか、だれが好きかを隠すのに命かけるとか、微苦笑しまくり。「可愛い子どもモノ」に反感持ってる方にもお勧め。あまりにリアルすぎて、可愛い可愛くないの問題は超えている。いじめというちょっとドラマチックなエピソードも出てはくるが、特に解決しないのも○。
これを読んで面白いなーと思った方は、ほかのベイカー作品も読んでみて欲しい。超能力者が時間を止めて痴漢しまくる話でも、面白さのツボは同じ。テーマはポイントではないのです。