魔法使いハウルと火の悪魔 (2)

本筋にはあまり係わりないけど、11月2日の日記id:tureusa:20041123#p2さんよりトラックバックを頂いたので、もう少し考えてみました。
この物語の世界がこちら側に破れている件です。
あちこち感想サイトなど回ってみると、「大魔法使いクレストマンシー」などの他作品とリンクしていて、そこからの設定の使い回しらしいですな。ストーリーに効いていないのはこの辺が理由らしい。

さて、ではなぜ物語世界が現実世界とリンクしているかですが。
インガリー国は「魔法が本当に存在する国」と説明されているけど、その具体例が「長女は幸せになれない」こと。つまりインガリーは物語原型が支配する世界と言うことになりますな。となると、ハウルのみならず大魔法使い全員が現実の人間だというのも理由が分かってくる。世界の魔力=「フィクションのお約束」に介入し得るのは物語の外の人間のみ。大魔法使いの魔力=作者(になり得る者)の力ということですね。

というわけで、「インガリー国における魔法の構造」という面では理屈は通っているのですね。ちゃんと作品内で説明してありました。

でもそうなるとなー、インガリー人の性格もお約束の力に支配されてないとおかしいような気がするんだよな。それではまったく別の話になってしまうので(そんなソフィーは嫌だ)しょうがないんだけど、だったら精緻な魔法の構造にこだわらず、現実世界を出さなくてもよかったんじゃないのか。ハウルの魔法は問題解決に役立っていないわけだし。やっぱり余計な設定という印象は変わりません。