スーパーサイズ・ミー

  • 最初にマック1ヶ月実験のルールが説明されるのだが、運動(1日あたりの歩数)も控えるというのだ。ほかのパラメータ変えてどうする。
  • ビッグマック摂取個数ギネス保持者」ゴースクさんを出したことで台無しになっているのではないのか。ビックマック健康によさそうじゃん。彼をCTにかけて、痩せているのは2型糖尿だから…とかの結果が出せたのならともかく。
  • 子供を取り込むのがよくないという主張らしいのだが、だったらもうちょっとつっこんだ取材をしてくれよ。大人の世代と子供の世代で食に対する意識が違わないように見えるので、べつにマックが子供を洗脳しているわけでなく、アメリカ人はどいつもこいつも栄養学の知識がないだけだという反論もできそうだ。
  • マックに電話で取材を申し込んでどうする。受けてくれるわけないだろ。

などなど、エピソードひとつひとつに疵がある。映画としてはしょーもない出来。公正を期そうとしすぎてるのかもしれない。もっと煽ってくれていいよ、聴衆はドキュメンタリーも虚構なのは分かってますから、と言いたくなる。 

なにより問題なのは、おヨソのことに見えることだ。日本にはバケツドリンクを1日5杯飲む人間はいないし。
アメリカの問題を扱っているのだから、日本人には分からなくて上等ということなのだろうが、やはり『ボーリング・フォー・コロンバイン』と比較してしまう。
日本では学校での乱射事件はいっこも起こっていないわけだが、『ボーリング…』を見てヨソのこととは思わない。恐怖を国家とマスコミが流布して根深い集団無意識を形成するという、どこででもあり得る普遍的な図式を提示し得ているから*1

やはり、ストーリーテリングの技術が足りてない。
体当たり実験自体は力のある素材だと思うので、今後に期待。といってもこれ以上の体当たりを期待されるのだからつらいような。

*1:アメリカでの『銃を持たないと殺される』に相当する強迫観念は日本では『少年が凶悪化している』ですよね。