ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

ウェイン町山氏(今そうは言わないのか)の紹介でその武勇伝を聞いていたボラットさんの映画。うーん、これ単体映画として成り立っているのか?ボラットさんて、「平均年齢40歳、女=売春婦で近親相姦当たり前、ユダヤウズベキスタン死ね!な後進国」からの旅人自体がネタなのではなくて、そんな国が実在すると全米が本気で勘違いして議員とのTV出演にまでなったというのがミソ。つまり世界に無知なアメリカを人を嘲笑しているのだと思うのだが、この映画ではその構造見えないだろう。ネタバレした後だから、「皆分かってるよね?」ということかしら。でもカザフスタンをバカにした映画だと本気で思っている奴見たぞ。

既視感あるなこの映画…と思ってたら大きなホテルに入ってわかった。ボラットとアザマートって「ラズべガスをやっつけろ」のジョニー・デップベニチオ・デル・トロに似てるんだ。でも高学歴ユダヤ系イギリス人は全裸でカンファレンスに躍り込んではいけません。体を張ったシモネタでジャッカスを擁するアメリカ勢に勝てるわけがないじゃないですか。あと、それに対してアメリカ人がどういう反応を取ったかが問題でしょ?
そういう意味ではロデオ大会がやはり一番面白かった。これは実際にあったことだと言うのが分かっているし。ボラットさんの誘導尋問がよく効いてすごい展開になるし。ボラットさんを見て笑ってもしょうがないんだよね。アメリカ人の本音が見えるのが面白い。

逆にハイソな晩餐会は完全にボラットさんの負けだと思うのだが? 騙されているのはバカだけど、皆文化が違う人に寛容で上品じゃないですか。トイレの使い方まで親切に教えてあげてるし。自分の奥さんだけを侮辱され続けてキれちゃって席を蹴った招待客はむしろかっこいい。「男ぜ…」と思ったぞ。
小さなモーテル経営しているユダヤ人(ボラットが化け物扱いしまくる)がすごくいい人なのもちょっと引く。これ仕込みでしょ? むしろそこはユダヤ系夫婦がごく普通のいいところも悪いところもあるアメリカ人である方が、差別のばかばかしさが浮き彫りになると思うのだが…

この2つは問題でしょう。これじゃサッシャ・バロン・コーエン本人が属する階級と民族を美化しているだけとも取られかねない。イギリス人がアメリカであばれていると言うのもなあ。自虐じゃないじゃん。まずご自分の国をからかったらいかが?

あと全然関係ないけどおまけ。

あふがにすタン

あふがにすタン

かざふすタンもでてくるお。