光の軌跡

光の軌跡 (ハヤカワepi文庫)

光の軌跡 (ハヤカワepi文庫)

以下の文はこの本のレビューでは全くない。
しかし、ぜひともケルタンと同じ日に書いておかねばならない。同時期に読んでいて、変なことが起こったのだ。

読む物無しで電車に乗るとき、近くの書店で

の順に探すことにしている。迷ってる暇がないので。で、今回手に取ったのがこの「光の軌跡」。なので、この小説・作者には全く予備知識がない。
さて、読むわけだが、ごく自然に
「この兄妹は同一人物の二つの人格だな。外向的な面を妹が、内省的な面を兄が司っているんだろう。お父さんのアウシュビッツ体験というのも妄想に違いない。父にまつわる悲惨な幼児体験の合理化として持ってきた話だろう。
このお手伝いさんは妄想の産物かな。妹の性的な面が特化した分裂人格かな。妹とお手伝いさんが同時に現れるとき、物語が怒濤の展開を迎えるのであろう!」
などと語り手を全く信用しない自分がいた。かなり読み進んでからハタと
「もしかして、文面通りにとればいいの?」
と気づいたときはけっこうエウレカだったよ。epi文庫に「悪童日記」3部作が収録されていることにも引きずられたかも。
すれっからしの読者向けに、「No叙述トリック」とかシール貼っておいて欲しいなあ(嘘だけど)。