筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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小さいループが延々つづいたかと思うと突然関係ないシーンにポンと移る、これは夢の構造でもある*1。筒井康隆は昔から夢をそのまんま書くのがうまいが、今回もなー。こんな感じでいつも夢を見てるんだけど、言語化されて目の前にポンと出されるとびっくりする。コロスもすごい。いわれてみれば、夢にこういう目の前の状況や自分の心情をナレーションしながらまとわりつく、そして夢の登場人物ではない、だから下僕として扱ってよい存在ってでてくるよねー。あれが何なのかと言われれば、コーラスガール以外の何者でもないよなあ。うううむ。
筒井康隆は死を思っている。まあいい年だから当然とも言えるが、「おれ」の最期の心情描写はどんどんリアル……かどうか分かる人はいないんだけど、そんな風に思えるものになってきている。今回は多元宇宙ものである以上、「おれ」の死は一つの(どころじゃなく無限の数の)宇宙の死。ちょっと切ない?
ループと分岐で語り直され続ける一通りじゃないストーリーってつまりこれはアドベンチャーゲームの話法。実際参考文献に東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』*2が挙げられており、これは延期になっている『ビアンカ・オーバースタディ』が待たれますな。
ちょっと頭が混乱している方が読んでて面白いので、就寝儀式として読んだり、歌のある曲をかけながら読んだり、酒を飲みながら読んだりしてました。あと筒井康隆の小説に出てくる精神分析医はいつも面白いな。